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流山の家 / House Renovation in Nagareyama

設計 ship architecture / 中村俊哉+藤井愛
施工 椎名建設

設計期間 2013年12月~2015年10月
施工期間 2015年10月~2016年6月
構造   木造 (一部鉄骨造)
敷地面積 274.93㎡
建築面積 112.44㎡
延床面積 154.42㎡

architect:
ship architecture / toshiya nakamura + ai fuji
constructor:Shiina Kensetsu

design:2013.12~2015. 10
construction:2015. 10~
structure:wooden
site area:274.93㎡
building area:112.44㎡
floor area:154.42㎡

photo:KentaHasegawa
開かれた庭と閉じる家
郊外の住宅地にある築50年の木造2階建て住宅。
子育てを終えた夫婦が新たな一歩を踏み出すために改修することになりました。
定期的に親戚が泊まりに来ること、将来的に娘と同居する可能性があること、近所の方たちが定期的にグループ生協で庭先に集まること、そして施主自身の高齢化など今後の生活のあり方をふまえて、使いやすいように既存の建物を調整していくことが求められました。
このあたりは1960年台に開発された住宅地で、南庭付き一戸建てがゆったりと建ち並ぶよくある郊外の町並みです。充実した庭がありながらも庭に面した窓にはカーテンがひかれ閉鎖的な印象を受けますが、よくよく観察すると庭に趣向を凝らしオープンガーデンをしたり、生協などで庭やガレージを開放したりする家もあり、庭を介して近隣住民とのコミュニケーションが生まれていることに気づきました。
一般的な戸建住宅のつくられ方は「家」と「庭」がそれぞれ自律したルールでつくられているために「家と庭」の関係性が希薄に感じられる場合が多くあります。家と庭とそこに関わる人がそれぞれ最適な距離感を保ちながら有機的なつながりを得られるようなつくりにできないかと考えました。


家と庭のあいだをつくる
既存の木造持ち出し梁にコンクリートを打設したバルコニーは重く垂れ下がって著しく劣化しており使用できない状況でした。改修にあたってはバルコニーの再築が不可欠だったため、バルコニーというフィルターを通して「家と庭」を眺めることからはじめました。
ここでは単にバルコニーという機能単体をつくり直すのではなく、庭と家とのあいだを取り持つような、奥行きのある境界のようなもの――時に応じて内部の延長となったり、人が集まったり、外部からの視線を緩和するものとなったりするような、さまざまに機能するもの――を目指しました。

まず既存バルコニー部分を切断・解体し、母屋の構造に負担をかけないよう独立したバルコニーを新しくつくることにしました。
奥行き1間を持つ鉄骨のフレームをつくり、一部は家族用玄関、2階レベルは全面バルコニーとなっています。バルコニーによってできた深い軒下は日除け雨除けのほか、人の出入りが多い庭と室内の距離感をほどよく保ち、また縁側のように開口部まわりを居場所として使えるようになりました。
バルコニーは、1間の奥行きを持つことで通りからの視線を遮り、人目を気にせず開放的に過ごせるようになっています。
またフレームの寸法構成には改修過程で建物内部に現しになった長押や梁、柱間などの寸法を引用することで、軒下と室内空間の一体感が生まれるようにしています。


バルコニーが導く階のキャラクター
既存の家の1階はリビングやダイニングキッチン、廊下、和室など機能ごとに部屋化されていましたが、さまざまな来客に対応できるよう余分な壁や柱などを撤去し、大きな広間と客間、風呂トイレに組み替えました。
広間は大きな窓を介して南北の庭に面していて、来客をもてなしたり、庭をいじりながら休憩したりと庭で過ごすことと連続した空間となるように考えました。大きなキッチンカウンターは来客時に大人数分の料理をしたり、友人たちが遠慮せず一緒にキッチンに立てるようになっています。また将来身体が不自由になった際に1階で完結した生活ができることもふまえた間取りと動線計画になっています。
2階はバルコニーによって外からの視線が遮られるため、日当たりの良いプライベートなキッチンリビングにしました。広いバルコニーとも連続し、気持ちの良い窓辺で朝食をすませたり、家事の合間に昼寝をしたりと家族だけの居場所として使われます。またここは将来的な住人構成の変化を受け止められるスペースでもあります。

新たにバルコニーフレームをつくることで、1階は庭と連続したパブリックな空間として、2階は空に近く開放的でプライベートな空間として、特徴がより際立つようになりました。住宅地に多く見られる家の閉鎖性を少しほぐし、夫婦がさまざまな他人と無理のない距離感を保ちながらも、よりまちに住まうことが楽しくなるような暮らし方の提案を試みました。
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